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バージョン: v18

ループ構造

While...End while

While...End while による制御フロー構造の正式な構文は以下のようになります:

 While(Boolean_Expression)
statement(s)
End while

While...End while ループは、ブール式が true である限り、ループ内のステートメントを実行し続けます。 ループの始めにブール式を評価し、ブール式が FALSE の場合にはループをおこないません。

一般に、While...End while ループに入る手前で、ブール式で判定する値を初期化しておきます。 通常はブール式が true になるように設定してからループに入ります。

ブール式は、ループ内の要素を使って設定されなければなりません。そうでなければ、ループは永久に続くでしょう。 以下の例では、NeverStop がいつも true であるので、ループは永久に続きます。

 NeverStop:=True
While(NeverStop)
End while

このようにメソッドの実行が制御不能になった場合には、トレース機能を使用し、ループを止めて、問題点を追跡することができます。 メソッドのトレース方法については、エラー処理 の章を見てください。

例題

 CONFIRM("新規レコードを追加しますか?") // ユーザーに確認します
While(OK=1) // 利用者が望む限りループします
ADD RECORD([aTable]) // 新規にレコードを追加します
End while // ループは必ず End while によって終わります

この例では、まずループに入る前に CONFIRM コマンドによりシステム変数 OK がセットされます。 ユーザーがダイアログボックスで OK ボタンをクリックすると、システム変数 OK に1がセットされ、ループを開始します。 それ以外の場合はシステム変数 OK に0が設定され、ループをスキップします。 ループに入ると、ADD RECORD コマンドはループを続けます。これは、ユーザーがレコードを保存した時点で、システム変数 OK に1が設定されるからです。 ユーザーが最後のレコードを取り消した (保存しない) 時点で、システム変数 OK に0がセットされ、ループは終了します。

Repeat...Until

Repeat...Until による制御フロー構造の正式な構文は以下のようになります:

 Repeat
statement(s)
Until(Boolean_Expression)

Repeat...Until ループは、While...End while ループと似ていますが、まずループの後でブール式を判定する点が異なります。 つまり、Repeat...Until ループは最低でも1回は必ずループを実行しますが、While...End while ループは最初のブール式が FALSE である場合には、ループを1回も実行しません。

もう一つの While...End while ループとの相違点は、 Repeat...Until はブール式が true になるまでループを続行することです。

例題

以下の例を、While...End while ループの例と比較してください。 ブール式を、初期化しておく必要がない点に注目してください。システム変数 OK を初期化する CONFIRM コマンドはありません。

 Repeat
ADD RECORD([aTable])
Until(OK=0)

For...End for

For...End for による制御フロー構造の正式な構文は以下のようになります:

 For(Counter_Variable;Start_Expression;End_Expression{;Increment_Expression})
statement(s)
End for

For...End for ループは、カウンター変数によりループを制御します:

  • カウンター変数 Counter_Variable は、数値変数 (実数または倍長整数) で、Start_Expression に指定した値に初期化されます。
  • ループを実行するたびに、任意の引数である Increment_Expression の値がカウンター変数に加算されます。 Increment_Expression を指定しない場合、増分値は1になります。
  • カウンターが End_Expression の値を超えた時点で、ループを停止します。

重要: Start_ExpressionEnd_ExpressionIncrement_Expression の値は、ループの始めに一度だけ評価されます。 これらの数値が変数で指定されている場合、ループ内でその変数の値を変更してもループは影響を受けません。

Tip: 特別な目的のために、カウンター変数 Counter_Variable の値を変更することができます。ループ内でカウンター変数を変更すると、ループはその影響を受けます。

  • 通常、Start_ExpressionEnd_Expression より小さい。
  • Start_ExpressionEnd_Expression が等しい場合、1回だけループがおこなわれます。
  • Start_ExpressionEnd_Expression より大きい場合、Increment_Expression に負の値を指定しない限り、ループはおこなわれません。 次に例を示します。

基本的な使用例

  1. 以下の例は、100回の繰り返しをおこないます:
 For(vCounter;1;100)
// なんらかの処理
End for
  1. 以下の例は、配列 anArray の全要素に対して処理をおこないます:
 For($vlElem;1;Size of array(anArray))
// 各配列要素に対する処理
anArray{$vlElem}:=...
End for
  1. テキスト変数 vtSomeText の文字を一つ一つループ処理します:
 For($vlChar;1;Length(vtSomeText))
// 文字がタブであれば
If(Character code(vtSomeText[[$vlChar]])=Tab)
// なんらかの処理をします
End if
End for
  1. 以下の例は、テーブル [aTable] のカレントセクションの各レコードについて処理をおこないます:
 FIRST RECORD([aTable])
For($vlRecord;1;Records in selection([aTable]))
// 各レコードに対する処理
SEND RECORD([aTable])
//...
// 次レコードへ移動します
NEXT RECORD([aTable])
End for

データベースで作成する大部分の For...End for ループは、上記例題のいずれかの形式になるでしょう。

カウンター変数の減算

ループに際してカウンター変数を増加させるのではなく、減少させたい場合があります。 その場合、Start_ExpressionEnd_Expression より大きい値を設定し、Increment_Expression に負の数を指定する必要があります。 次に挙げる例題は、前述の例と同じ処理を逆の順序でおこないます:

  1. 以下の例は、100回の繰り返しをおこないます:
 For(vCounter;100;1;-1)
// なんらかの処理
End for
  1. 以下の例は、配列 anArray の全要素に対して処理をおこないます:
 For($vlElem;Size of array(anArray);1;-1)
// 各配列要素に対する処理
anArray{$vlElem}:=...
End for
  1. テキスト変数 vtSomeText の文字を一つ一つループ処理します:
 For($vlChar;Length(vtSomeText);1;-1)
// 文字がタブであれば
If(Character code(vtSomeText[[$vlChar]])=Tab)
// なんらかの処理をします
End if
End for
  1. 以下の例は、テーブル [aTable] のカレントセクションの各レコードについて処理をおこないます:
 FIRST RECORD([aTable])
For($vlRecord;Records in selection([aTable]);1;-1)
// 各レコードに対する処理
SEND RECORD([aTable])
//...
// 前レコードへ移動します
PREVIOUS RECORD([aTable])
End for

1より大きな値によるカウンター変数の増加

必要に応じて、Increment_Expression (正または負の値) に、その絶対値が1より大きな値を指定できます。

  1. 以下の例は、配列 anArray の偶数要素について処理を行います:
 For($vlElem;2;Size of array(anArray);2)
// 偶数要素 #2,#4...#2n に対する処理
anArray{$vlElem}:=...
End for

ループ構造の比較

For...End for ループの例をもう一度見てみましょう。 以下の例は、100回の繰り返しをおこないます:

 For(vCounter;1;100)
// なんらかの処理
End for

While...End while ループと Repeat...Until ループで、同じ処理を実行する方法を調べてみましょう。 以下は、同じ処理を実行する While...End while ループです:

 $i:=1 // カウンターの初期化
While($i<=100) // 100回のループ
// なんらかの処理
$i:=$i+1 // カウンターの増分が必要
End while

同じことを Repeat...Until ループで記述すると以下のようになります:

 $i:=1 // カウンターの初期化
Repeat
// なんらかの処理
$i:=$i+1 // カウンターの増分が必要
Until($i=100) // 100回のループ

Tip: For...End for ループは、While...End whileRepeat...Until ループよりも高速です。これは4Dが内部的にカウンター変数のテストおよび増加を行うからです。 したがって、可能な限り For...End for ループの使用が推奨されます。

For...End for ループの最適化

カウンター変数 (インタープロセス、プロセス、ローカル変数) には実数、または倍長整数タイプを使用します。 数多く繰り返されるループの場合、とくにコンパイルモードでは、倍長整数タイプのローカル変数を使用してください。

  1. 次に例を示します:
 C_LONGINT($vlCounter) // 倍長整数型のローカル変数を使用します
For($vlCounter;1;10000)
// なんらかの処理
End for

For...End for の入れ子構造

制御構造は、必要に応じて入れ子にする (ネストする) ことができます。 For...End for ループも同じです。 誤りを避けるため、各ループ構造ごとに別のカウンター変数を使用してください。

次に例を示します:

  1. 以下の例は二次元配列の全要素への処理です:
 For($vlElem;1;Size of array(anArray))
//...
// 各行に対する処理
//...
For($vlSubElem;1;Size of array(anArray{$vlElem}))
// 各要素に対する処理
anArray{$vlElem}{$vlSubElem}:=...
End for
End for
  1. 以下の例は、データベースのすべての日付フィールドに対するポインターの配列を作成します:
 ARRAY POINTER($apDateFields;0)
$vlElem:=0
For($vlTable;1;Get last table number)
If(Is table number valid($vlTable))
For($vlField;1;Get last field number($vlTable))
If(Is field number valid($vlTable;$vlField))
$vpField:=Field($vlTable;$vlField)
If(Type($vpField->)=Is date)
$vlElem:=$vlElem+1
INSERT IN ARRAY($apDateFields;$vlElem)
$apDateFields{$vlElem}:=$vpField
End if
End if
End for
End if
End for

For each...End for each

For each...End for each による制御フロー構造の正式な構文は以下のようになります:

 For each(Current_Item;Expression{;begin{;end}}){Until|While}(Boolean_Expression)}
statement(s)
End for each

For each...End for each 構造は、Expression に含まれるすべてのCurrent_item に対して処理を繰り返します。 Current_item の型は Expression の型に依存します。 For each...End for each ループは3種類の Expression を対象に反復処理をおこなうことができます:

  • コレクション: コレクションの各要素をループします
  • エンティティセレクション: 各エンティティをループします
  • オブジェクト: 各オブジェクトプロパティをループします

以下の表は、For each...End for each の3つのタイプを比較したものです:

コレクション内のループエンティティセレクション内のループオブジェクト内のループ
Current_Item の型コレクション要素と同じ型の変数エンティティテキスト変数
Expression の型(同じ型の要素を持つ) コレクションエンティティセレクションオブジェクト
ループ数 (デフォルト)コレクションの要素数セレクション内のエンティティ数オブジェクトのプロパティ数
begin / end パラメーターをサポート×
  • ループの数は開始時に評価され、処理中に変化することはありません。 ループ中に項目を追加・削除することは、繰り返しの不足・重複を引き起こすことがあるため、一般的には推奨されません。
  • デフォルトでは、内部の statement(s) 部の処理は、Expression の各項目に対して実行されます。 しかしながら、ループの先頭 (While) あるいはループの終わり (Until) で条件をテストすることで、ループを抜け出すことは可能です。
  • 任意の begin および end パラメーターを指定することで、コレクションおよびエンティティセレクションに対してループの範囲を定義することができます。
  • For each...End for each ループは 共有コレクション共有オブジェクト に対して使用することもできます。 コレクションの要素またはオブジェクトのプロパティを変更する場合は、Use...End use 構文も追加で必要です。 Use...End use 構文の使い方は、つぎのように状況に応じて異なります:
    • 整合性のため要素やプロパティを一括で処理しなくてはならない場合には、ループに入る前 (外側) に使います。
    • 要素やプロパティを個々に変更して差し支えない場合は、ループの中で使います。

コレクション内のループ

For each...End for eachCollection 型の Expression に対して使用された場合、Current_Item はコレクション要素と同じ型の変数です。 デフォルトでは、ループの回数はコレクションの要素数に基づいています。

コレクションの要素はすべて同じ型でなくてはなりません。そうでない場合には、Current_Item 変数に別の型の値が代入されたときにエラーが生成されます。

各ループの繰り返しにおいて、Current_Item 変数には、合致するコレクションの要素が自動的に代入されます。 このとき、以下の点に注意する必要があります:

  • Current_Item 変数がオブジェクト型、あるいはコレクション型であった場合 (つまり Expression がオブジェクトのコレクション、あるいはコレクションのコレクションであった場合)、この変数を変更するとコレクションの対応する要素も自動的に変更されます (オブジェクトとコレクションは同じ参照を共有しているからです)。 変数がスカラー型である場合には、変数のみが変更されます。
  • Current_Item 変数は、コレクション要素の型と合致していなくてはなりません。 コレクション要素のどれか一つでも、変数と異なる型のものがあった場合、エラーが生成され、ループは停止します。
  • コレクションが Null 値の要素を格納していたとき、Current_Item 変数の型が Null 値をサポートしない型 (倍長整数変数など) であった場合にはエラーが生成されます。

例題

数値のコレクションを対象に、統計情報を計算します:

 C_COLLECTION($nums)
$nums:=New collection(10;5001;6665;33;1;42;7850)
C_LONGINT($item;$vEven;$vOdd;$vUnder;$vOver)
For each($item;$nums)
If($item%2=0)
$vEven:=$vEven+1
Else
$vOdd:=$vOdd+1
End if
Case of
:($item<5000)
$vUnder:=$vUnder+1
:($item>6000)
$vOver:=$vOver+1
End case
End for each
//$vEven=3, $vOdd=4
//$vUnder=4,$vOver=2

エンティティセレクション内のループ

For each...End for eachEntity selection 型の Expression に対して使用された場合、Current_Item は現在処理中のエンティティです。

ループの回数はエンティティセレクション内のエンティティの数に基づきます。 各ループの繰り返しにおいて、Current_Item には、処理の対象であるエンティティセレクション内のエンティティが自動的に代入されます。

注: エンティティセレクション内のエンティティが、途中で他のプロセスによって削除された場合、そのエンティティはループにおいて自動的にスキップされます。

カレントエンティティに対して適用された変更は、entity.save( ) で明示的に保存する必要があることに注意してください。

例題

Employees データクラスの中から、英国の従業員の給与を引き上げます:

 C_OBJECT(emp)
For each(emp;ds.Employees.query("country='UK'"))
emp.salary:=emp.salary*1,03
emp.save()
End for each

オブジェクト内のループ

For each...End for each が Object 型の Expression に対して使用された場合、Current_Item は現在処理中のプロパティ名が自動代入されたテキスト変数です。

オブジェクトのプロパティは作成順に処理されていきます。 ループ中、プロパティをオブジェクトに追加/削除することが可能ですが、その場合でも残りのループ回数は、オブジェクトの元のプロパティ数に基づいているため、変化しません。

例題

下のオブジェクトに格納されている名前に関したプロパティの値をすべて大文字に変えます:

{
"firstname": "gregory",
"lastname": "badikora",
"age": 20
}

以下のように書くことができます:

 For each(property;vObject)
If(Value type(vObject[property])=Is text)
vObject[property]:=Uppercase(vObject[property])
End if
End for each
{
"firstname": "GREGORY",
"lastname": "BADIKORA",
"age": 20
}

begin / end パラメーター

任意の begin と end パラメーターを指定することで、繰り返しの範囲を定義することができます。

注: beginend パラメーターは、コレクションおよびエンティティセレクション型に対するループにおいてのみ使用することができます (オブジェクト型のときは無視されます)。

  • begin には、Expression においてループを開始したい要素位置を渡します (このとき begin の値が指す要素はループに含まれます)。
  • end には、Expression においてループを終了する要素位置を渡します (このとき end の値が指す要素はループに含まれません)。

end が省略されている、あるいは endExpression の要素数より大きい場合、begin 引数の位置から最後の要素まで (含まれる) をループします。 beginend が正の値の場合、それらは Expression 内の要素の実際の位置を表します。 begin 引数が負の値の場合、それは begin:=begin+Expression のサイズ として再計算されます (つまり、Expression の終端からのオフセットであるとみなされます)。 再計算された値も負の値だった場合、begin は0に設定されます。 注: begin が負の値だったとしても、繰り返しそのものは標準の順番で実行されます。 end が負の値だった場合、それは end:=end+Expression のサイズ として再計算されます。

例:

  • コレクションには 10の要素が格納されています (ナンバリングは #0から#9)
  • begin=-4 -> begin=-4+10=6 -> ループは6番目の要素 (#5) から開始されます
  • end=-2 -> end=-2+10=8 -> 繰り返しは8番目の要素 (#7) の前に終了します、つまり7番目 (#6) の要素の処理が最後のループとなります。

例題

 C_COLLECTION($col;$col2)
$col:=New collection("a";"b";"c";"d";"e")
$col2:=New collection(1;2;3)
C_TEXT($item)
For each($item;$col;0;3)
$col2.push($item)
End for each
//$col2=[1,2,3,"a","b","c"]
For each($item;$col;-2;-1)
$col2.push($item)
End for each
//$col2=[1,2,3,"a","b","c","d"]

Until と While 条件

For each...End for each の実行は、Until あるいは While 条件を追加することでコントロールすることができます。 Until(condition) 条件がループに組み込まれた場合、condition の式が true に評価されるとループは停止します。While(condition) 条件の場合は逆に、condition の式が false になるとループが停止します。

使用する条件は状況に応じて選べます:

  • Until 条件は各ループの終わりにテストされます。そのため、Expression が空あるいは null でないかぎり、ループは少なくとも1回は実行されます。
  • While 条件は各ループの始めにテストされます。そのため、評価の結果次第では、ループは一度も実行されないこともありえます。

例題

 $colNum:=New collection(1;2;3;4;5;6;7;8;9;10)

$total:=0
For each($num;$colNum)While($total<30) // 最初にテストされます
$total:=$total+$num
End for each
ALERT(String($total)) //$total = 36 (1+2+3+4+5+6+7+8)

$total:=1000
For each($num;$colNum)Until($total>30) // 最後にテストされます
$total:=$total+$num
End for each
ALERT(String($total)) //$total = 1001 (1000+1)